敗戦の年の3月10日午前0時7分より、B29戦略爆撃機325機が低空飛行で東京下町に侵入。
無差別爆撃により、2時間余りで約11万人が亡くなったと言われるのが東京大空襲。
東京35区の3分の1が焼失。
数多くの戦災孤児を生んだ。

絶望に向き合って呻く

悲しみのあまりに泣くことでもある。
それを慟哭という。
今日の一冊は、

『古仏の微笑と悲しみ』吉村貞司著 新潮選書
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本書では、昨日取り上げた中宮寺半跏思惟像

☆慟哭寸前の微笑☆

とする。

『古寺巡礼』和辻哲郎著 岩波書店刊で、和辻哲郎はこの仏像の表情を

☆たましひのほほゑみ☆

と書いたが、吉村氏はその見方を西洋の美意識に影響を受けたものと言う。
そうではなく、慈悲の心によって、苦悩し、呻く。
自分のために苦しむのではなく、人々を救うために呻く半跏思惟像。
だから、人はこの像に惹きつけられるのかもしれない。

合掌