小論文の授業を担当していると添削に追われる日々を送ることになる。
今年はFelix生の熱意が例年以上なので添削にも気合が入る!

それでも、読書の時間は確保。
今日の一冊は、

『こんぱるいろ、彼方』椰月美智子著 小学館文庫

大学生の奈月が夏休みに友人と海外旅行を計画するのね。
母親が娘の代わりにパスポート申請に必要な書類を取りに行くわけ。
その母の出生地の欄にはカタカナの地名。
奈月には伝えていない事があった。

1975年4月、サイゴンが陥落してベトナム戦争が終結した。
ホーチミン市と名を変えたサイゴン。
体制の変わった祖国を逃れて1978年、幼い母と家族はボートピープルとなる。

伝えなかった母、知らなかった娘

偶然、旅行先はベトナムとなり、物語が展開していく。

解説は大作『ザ・ロイヤルファミリー』を著した早見和真氏。

自分以外の誰かの人生を追体験させてくれること

それが小説の醍醐味ならば、この物語はまさにそうだとおっしゃる。