昨日は、魂の話をしたのだが、それで思い出したので、書棚にある『ランゲルハンス島の午後』村上春樹を手に取ってみた。

夏の闇という短いエッセイがあってね。

村上春樹が学生の頃、山中で会った老人が【死人の道】について話してくれた。

死者の魂が冥土へ向かう道筋が死人の道で、決して近づいてはいけないと。
真夏でも背筋が凍りつくように寒さを感じる道だという。

都市の真ん中で息を引き取った人々はどのように死者の国に向かうのかと春樹は考える。
そうして地下鉄の最前車両で、闇をじっと眺めて

古き魂の
揺れるがごとき
夏の闇

と歌うのね。
地下鉄の闇を見る時、内田はふと返還前の香港にあった九龍城砦を思い出す。
この話は、また明日。