NHK朝のTV小説『なつぞら』が話題。
アニメーターの生涯を描いたものらしいが、戦災孤児の主人公を亡父の戦友が引き取って北海道で育てるところからスタートしている。

お互いに自身に何かあったら、家族の面倒をみようと約束を交わした戦友同士。
映画『永遠の0』にもこんな台詞があった。

☆君がこの戦争を無事に生き抜いた暁に、もし私の家族が路頭に迷っていたら、手を差しのべて欲しい☆

ネタばれ禁止なので、このくらいで。
社会保障制度も未熟だった時代、自身の家族の身を案じて、死ぬに死にきれなかった方も多かったであろう。

今日の一冊は、

『浮浪児1945 戦争が生んだ子供たち』新潮社 石井光太著

戦災孤児を研究している人は極めて少ない。
野良犬同様の扱いを受けて差別や偏見の目にさらされた彼らは、成長してからも孤児であったことを申告しなかったからである。
また、駅や通路で野宿していた子供達は飢えや寒さで長生き出来なかったからである。

敗戦直後は、12万人いたとされる戦災孤児。
実数は、その数倍であったらしい。
一口に戦災孤児と言っても、空襲で親とはぐれた戦争孤児、疎開先から帰京したら両親が空襲で亡くなっていた疎開孤児、原爆孤児、引き揚げ孤児等がある。
親戚に引き取られ苦労した子供、駅等で野宿して浮浪児になった子供等様々。
幸福の形は一様なのだが、不幸の形は様々。

『なつぞら』の主人公は周囲に恵まれて、硬い殻を少しずつ溶かしていく。

戦争がある限り、今日も孤児が生まれている